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~農学院生のブログ~

「キツツキと雨」:映画の評価と感想

 


映画『キツツキと雨』予告編

キツツキと雨」の簡単なあらすじ

 

 田舎の自然の中、B級ゾンビ映画の撮影を行う製作チーム。それを取り仕切る監督は若干25歳の新米監督で映画を撮った経験はほとんどなかった。役者人やスタッフに気持ちを表現することができず、自信を失っていた青年が地元で林業をしていた中年オヤジと交流することで、社会で生きていく自信をつけていく話。

 

沖田監督三部作(かってに)の二本目

 

 前々から注目していた作品でしたが、最近見る機会がありました。内容は地味なんですが驚くほど良い作品で自分の中でかなり評価が高かったです。監督を務めた沖田修一さんは「南極料理人」、「横道世之介」などを手掛けており、どれも名作です。私はこれに「キツツキと雨」を加えた3つがこの監督の現在形の3本だと思うんですが、よかったらぜひ見てみてください。どれも面白いです。

 

主演二人の好演に注目

 

 本作の作風は、監督の他の作品同様のんびりとした仕上がりになってます。ただ内容は軽いだけではなく、社会人のスタートでの葛藤と成長が描かれ、見終わったあと非常に清々しい気持ちになれる作品になってます。主演は小栗旬です。(旬って芸名?旬って改めてみるとすごいな)小栗旬のイメージって最近はもっぱら二枚目俳優ですが、今作では内相的な青年を演じています。それが結構ハマっていて、かなり感情移入できました。またもう一人の主役の役所広司は田舎で林業をするオジサンなんですが、リアルすぎるし、この人がこの映画の笑いの要素のほとんどを担っています。他にも個性的なキャラが多く、憎むべき人が出てこないような映画でした。

 

チームがまとまる気持ちよさと田舎の人々の清々しさ

 

 映画の序盤が監督がなにをやってもうまくいかない様子が結構長く描かれているため、見ていて苦しい時間が続きます。経験不足から起こる「できてない感」が長いので同年代としては嫌な時間でした。しかし、徐々に周りの人々の協力を得て、撮影もうまくいくようになるとベテランのスタッフたちが協力するようになり、地元の人々も映画の撮影に参加するようになります。そこからは今までの嫌な感じがバネとなってずっと幸福感に包まれながら映画を見ることができました。同じような経験のある人ならだれでも楽しめる作品ではないかと思います。