In to the moratorium

~農学院生のブログ~

農学部生が選んだ農学的視点を持つおすすめ漫画3選

はじめに

漫画は結構好きな方でよく読むんですが、ただ好きな漫画を紹介しても面白くないので、今回は農学的な視点をふまえつつ面白いなーと思う漫画を3つほど選んでみました。

ちなみにどーでもよいですが僕の漫画遍歴は小学校高学年のころはコロコロコミックを読み、中学に入ると週刊少年ジャンプを読むようになり、大学三年からはヤングジャンプに移行しました。

それでは行きましょう。

その1 もやしもん

もやしもん(1) (イブニングKC)

 

菌を肉眼で見ることのできる農大生の主人公沢木、惣右衛門直保が個性的な農大生の仲間たちに囲まれて送るキャンパスライフの様子を描いた漫画です。主人公の長ったらしい名前は主人公の実家が伝統ある酒造だからだと思います。

このマンガ主人公は1年生なのですが、菌が見える特殊能力を見込まれ菌を専門とする教授のもとで発酵食品などについて学んでいきます。

この漫画の面白い点としては

  • とにかく発酵食品について詳しくなれる。
  • 農大の学生たちならではの特殊な雰囲気が面白い。

この2点だと思います。発酵食品はビール、ワイン、日本酒などの酒類、醤油や味噌などの調味料など様々なものがあります。その一つ一つについて詳しくうんちくを語ってくれているのでこの漫画を読むだけで飲み屋に行った時なんかはお酒について知ったかぶりができるでしょう。主人公を取り囲む学生たちの雰囲気を見ているのも面白くて収穫祭やミスコンなどのイベントでバカをやりつつ奮闘する農大生たちの様子や男子寮での汗臭い日常が笑えます。

農学部生として共感するところもありつつ、こんな学校今はないんじゃないかなーとも思いつついろいろと楽しいです。これから大学に入ろうとする高校生にも読んでほしいですね。

その2 風の谷のナウシカ

ワイド判 風の谷のナウシカ 全7巻函入りセット 「トルメキア戦役バージョン」 (アニメージュ・コミックス・ワイド版)

 

アニメ映画で方が有名なナウシカの漫画版になります。もちろん宮崎駿本人が書いているんですが映画の内容とは大きく異なり風の谷だけでなくそれをとりまくトルメキアやドルクなどの大国も登場し、世界にわずかに残った土地を奪い合う血みどろの戦争が描かれています。腐海の誕生の謎などアニメでは触れられていない核心の部分を漫画では読むことができます。

ナウシカのアニメは自然と文明の対立を軸にそれに翻弄される主人公のナウシカを描いたものだと理解しています。しかし漫画の中ではさらに広いテーマを設け、戦争を繰り返す人間の愚かさや滅ぶとわかっている種族がそれでも生きる意味を問いかけてます。まだまだ自分にも理解が追い付かない内容も多くこれからさらに人生経験を積めばさらに深みのある漫画として読めるようになるのではないかと思います。伸び代ですね。

この漫画、自分の中学校の図書館に置いてあり、そこで初めて読んだのが知るきっかけでした。当時の自分としては結構衝撃で休み時間に学校で漫画を読む気持ち悪い奴という視線を気にしなくなるほどに熱中したのを覚えてます。今では全観購入し(といっても7巻程度なので手頃に買える)一人暮らしするアパートにもしっかり持ってきています。もともと生物が好きだった自分が理学部ではなく農学部を選んだ理由にはアニメも含めてこの漫画の影響が少しはあったんじゃないかと思います。漫画にしては内容がなかなか難しく展開も速いためしっかり読まないとついていけないかもしれません。しかし自然と人間のかかわりに興味がある人は読んで損はないでしょう。

その3 ゴールデンカムイ

 

ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 

週刊ヤングジャンプで去年連載が始まったばかりの漫画で2015年7月現在で3巻まで出ています。簡単にストーリーを説明すると日露戦争の激戦地をいくつも生き残り「不死身の杉本」と呼ばれた主人公杉本佐一が故郷で盲目となった幼馴染の女性のためにアイヌの隠された金塊探す話です。金塊のありかは網走監獄につかまっていた盗賊の首領だけが知っていたんですがその首領は金のありかを示す暗号を複数の囚人に入れ墨として彫り、その囚人たちを脱獄させることで仲間に知らせようとします。しかし脱獄途中で囚人たちに逃げられてしまい、金を手に入れるためには囚人全員の体に彫られた入れ墨を皮をはぐこと(つまり殺す)ことでとっていかなければならないのです。ここまで読むとかなり怖い話に思うかもしれませんがそんなわけでもなくシリアスとコミカルが半々といった感じです。日露戦争を戦った最強の軍「第七師団」や囚人として実は生き残っていた新選組土方歳三なども登場し杉本と金をめぐって争っていきます。

この漫画のなかで最も重要な人物を紹介せずにここまできてしましました。

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それがこの女の子アシㇼパさんです。どう発音するかは俺にもわかりません。

この女の子、衰退するアイヌ民族の若い女性で盗賊に殺されたアイヌの父親の仇を打つために杉本と行動を共にしています。なぜこの漫画が農学部生としておすすめなのかというと主人公とアシㇼパがアイヌの伝統的な狩猟にならって北海道に生息する動物を片っ端から狩っては食べてを繰り返しているからです。動物と人間の関わりを探るという点で狩猟も重要な農学の分野です。この動物の中にはヒグマ、エゾシカはもちろんリスやカワウソなど今じゃ絶対に考えられない動物までとって食べています。またその調理法も独特で、アイヌ文化に伝わる伝統のレシピがふんだんに紹介されています。今じゃジビエも認知されるようになってきましたがこの漫画に出てくる料理はそのイメージのさらに上をいきます。しかしどれも本当においしそうなんです。自分はまだ本格的なジビエを食べたことがないですが近い将来必ず食べたいと思っています。

この漫画の良いところはアシㇼパさんと杉本のほっこりする絡みと金塊をめぐるシリアスな展開が両方楽しめるところにあります。連載は始まったばかりで知名度はあまりありませんが今後絶対に人気になると思っています。すでに刊行されたものはすごい勢いで売れ始めてるようですし。杉本とアシㇼパさんがこれから何を食べてくれるのか非常に楽しみです。

おわりに

今回は農学的な視点でおすすめの漫画を3つ選んでみました。自分の分野が森林科学なので方面的に偏った選定になったかと思います。農学の分野は農業、畜産、漁業等まだまだあるのでそっち関連の漫画を探してみるのも面白いかもしれないですね。